アーカイブ 「住まいのモノサシ」

2020年 3月 03日

職人がつくる木の家ネット つくり手特集


(一社)職人がつくる木の家ネットのつくり手特集に、
これから私たちは森林とどう向き合い、どのようにつき合っていけばよいか、
いま考えていることについて、まとめていただきました。
かなりのロングインタビューですが、ご関心あれば木の家ネットHPをご覧ください。

この記事は、基本的にインタビューで私が発した言葉を編集して組み立てられています。
伝えたいことは、これからの森林とのつき合い方なのですが、
論拠となる研究報告やデータなどを示していないので、腑に落ちない方もおられるのではないかと思います。
とくに、出だしの杉花粉症についてと、その次の杉の床板は花粉症や風邪予防に効果があるとの
文章については、文献や参照図書などを知りたい方がいらっしゃることでしょう。
そこで、以下のように補足させていただきます。

①杉花粉症についての出だしの文章
「みなさん、杉の花粉が空気を汚しているという感覚じゃないですか。これは誤解です。
杉花粉がきれいな状態ではアレルギー症状は起こりません。
涙も鼻水も咳も、花粉の表面に吸着した化学物質の微粒子を体外に排出しようと反応しているのだと思います。
それからもう一つ。杉花粉はとても固い殻で覆われていて本来壊れにくいものなんです。
ところが、鼻水に浸かるとそれが壊れて、中にあるタンパク質が溶け出してしまう。
花粉症はそれが引き金だと言われます。(*1)

でも、同じ物質でも身体への入り方によって結果は違うんです。
口で呼吸をすれば、花粉の大部分は鼻腔と気管支粘膜に入り、アレルギー症状が起こります。
ところが鼻で呼吸をすると、花粉の多くは気道に入らず消化器官へと流れます。
腸に入れば免疫の自己破壊活動が起こらない免疫寛容になるようです。(*2)

これは私見ですが、ヒトは大気中に漂う花粉さえもタンパク源にできるよう進化してきた。
花粉症は、それが裏目に出ているのではないかと感じます。
現代人はストレスなどにより口呼吸が増えています。
鼻呼吸するよう工夫して、花粉さえも栄養源として取りこむほどのたくましさを私は得たいですね。」


*1
国立研究開発法人 国立環境研究所 ホームページ(2020-0303 11:10 検索)
花粉症
(1)症状を悪化させるもの https://www.nies.go.jp/fushigi/050504.html
(2)なぜこんなに増えているのか? https://www.nies.go.jp/fushigi/050511.html

*2
みらいクリニック 院長 今井一彰 先生にご教示いただきました。
口で呼吸すると、内鼻孔から(のどちんこをまわって)花粉は鼻腔に到達。
気管支には鼻呼吸より大量の花粉が気管支粘膜に到達します。
参考図書:https://mirai-iryou.com/doctor/book/
以下、『正しく鼻呼吸すれば病気にならない』の目次から一部を抜粋
現代人の9割が「口呼吸」
多くの人が口呼吸を自覚していない
口呼吸だと、風邪やインフルエンザにかかりやすい
鼻呼吸か口呼吸かは、●の位置が決める

②花粉症や風邪予防に杉の床板は効果があるとした文章
「『花粉症なので杉材の家はちょっと…』とよく言われるんですが、
アレルゲンではないので全く問題ありません。ご安心を(笑)。
そういう人にこそ杉材をおすすめします。とくに床材に使うと効果的です。
杉は比重が低いので足元が冷えず温かいです。
調湿作用が高く、床に落ちたホコリに適度な湿気を与えて、再び空気中に舞うことを抑えます。(*3)
これは風邪などにも効果があります。
空中浮遊菌やウイルスは、人や物が移動するときに舞い上がるホコリの中に存在しているからです。

さらには、杉の香りに含まれる「セスキテルペン」という揮発成分が免疫活動に好ましい影響を与えます。
それが唾液に含まれる「免疫グロブリンA」を増加させるのではないかとの研究報告もあります。(*4)

ヒトは1日に13,000ℓの空気を肺に入れています。
空気も物質で重さがあって、概算でそれは17㎏ほどにもなります。(*5)

どんな水を飲むかも大切ですが、どんな空気を吸うかが健康に大切であることを、私たちはもっと意識しなくてはなりません。
そう考えると杉はとても有益な木でしょう。イメージだけで敬遠されているのが残念です。」


*3
参考図書:
『木造校舎の教育環境』(財団法人日本住宅・木材技術センター 平成16年8月)
『あたたかみとうるおいのある木の学校-早わかり木の学校-』(文部科学省 平成19年12月)

*4
<熊本県小国町における取組(九州大学大学院芸術工学研究院による調査)>
(綿貫茂喜:第60 回日本木材学会大会公開シンポジウム(2010)より)

*3,4
木挽棟梁のモノサシ(西日本新聞朝刊 2010-0214)
インフルエンザ~木のパワーで撃退
http://www.sugiokatoshikuni.com/?page_id=1252#11

*5
呼吸1回約500ml × 18 回/分 × 60 分 × 24 時間 = 12,960 ml
キログラム数=リットル数 ÷ 22.4 × 0.0288 ㎏ 
      =13,000 ÷ 22.4 × 0.0288 = 16.7 ㎏
(22.4は標準状態(0℃/1気圧)の mol 係数、1 mol=28.8 g)

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2016年 9月 26日

『住む。』59号(2016秋)


いま書店に並んでいる『住む。』59号。
連載企画である「家をつくるなら、近くの山の木で 57」(108~119頁)
の取材をお受けしたのは7月の終わり、夏真っ盛りの頃でした。
取材で訪ねた建築工房悠山想(ゆうざんそう)設計施工による甘木の家は、
手刻みの木組み、土壁+しっくい、木製建具の開放的な空間。
写真家Yさんの緊張感みなぎるお仕事ぶりを横目に、
取材のほうは まったりとした雰囲気で経過していきました。
  

なぜ、私は杉にひかれるのか。
“Big Why” を探りに旧小石原村の行者杉の森を訪ねました。
最近は、幼少の頃に思ったこと、感じたことが、
そのときの場面とともに突然フラッシュバックする瞬間があります。
取材の翌月には、行者杉を手植えした行者たちが修行に入った
霊峰「英彦山(ひこさん)」を二度訪問しました。
今回の取材をきっかけに、長年抱いてきた疑問がほぐれてきました。
おかげで今、充実した日々を送っています。
  

『住む。』59号、まずは書店で、ご高覧いただけましたら幸いです。
http://sumu.sakura.ne.jp/numbers/59.shtml
 
ちなみに「住まいのモノサシ」には、「甘木の家」の写真を使った記事が2つあります。
「19 子ども部屋」「20 縁側」です。 

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2016年 3月 18日

住まいのモノサシ42 家とは~家族のかたち 大切に

カテゴリー 住まいのモノサシ

今月ついに最終回をむかえました。
取材に伺ったり、写真を拝借したり、相談したり、応援いただいたり、
本当にたくさんの方々のお力添えのおかげで、3年半走り続けることができました。
心より御礼申し上げます。ありがとうございました!
それにしても3年半は長かった。
これからは文章ではない「締め切り」を月毎に設定して、
のびのびやろうと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。

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2016年 2月 20日

住まいのモノサシ41中古住宅~「木と土の家」に改装

カテゴリー 住まいのモノサシ

いよいよ来月で最終回です。
今回は一般紙の「くらし生活」欄であるという初心に戻り、
ですます文体で、3年半を振り返りました。
昨年、私は住まいを替えました。
様々な事情で引越しを余儀なくされ、ここ十数年で4回目となります。
RC造の1階、木造の平屋、RC造の4階、そして今回は木造2階建てです。
Wチャーチルの言葉に
「人が住まいをつくり住まいが人をつくる」
というものがあります。
家移りの中で、住まいにより人の心持ちに変化が生じる、
と実感する場面がこれまで多々ありました。
今回も私を含め家族の変化を、注意深く観察しようと思っています。

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2016年 1月 23日

住まいのモノサシ40 木材~「節約」から「使用」へ

カテゴリー 住まいのモノサシ

いよいよ私にとっての本題である「木材」がテーマ。
『住まいのモノサシ』も今回で40回となりました。
3月で最終回となります。
あと2回、悔いのないよう尽くしたいと思います。

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2015年 12月 18日

スギ~資源活用 数寄屋造り

カテゴリー 住まいのモノサシ

今回は、二つの時代の「杉だらけ建築」の話です。
日頃は「二つの杉普請」と言っていますが、
「普請」という言葉の説明が必要なので今回は避けました。
魚は「切り身」で見ても、魚種を見分けられる人はけっこう多いように思います。
でも、木の場合は、建築士であっても樹種を見分けられないという人が増えています。
食べ物と一緒で、切り身から、元の素材を想像できたら、
そして、作る過程をイメージ出来たら、
もっと住まいづくりは楽しくなるのではないかと思います。

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2015年 11月 20日

住まいのモノサシ㊳「室町時代」加工発達 マツ主役に

今年の4月、設計者の丹呉明恭さん、大工の池上算規さんと一緒に大阪府、兵庫県を旅した。
来年おそらく実現されるであろう、新築の茅葺き民家をつくる構想のためだ。
今回の二つの千年家の写真はそのときのもの。
この日は小野市にある、重源創建の浄土寺も訪れた。
浄土寺は檜普請なので、クリ、マツ、ヒノキの建築を一日で見て回ったことになる。
 
重源による東大寺の復興は、
建久元年(1190年)に上棟、建久6年(1195年)に大仏殿完成。
東大寺南大門は正治元年(1199年)復興。
浄土寺は建久年間(1190年~1198年)の創建であるから、
浄土寺のヒノキも、山口の徳地のものではないかと推測している。
ご存じの方は教えてください。


 
小野市浄土寺 板倉の建物

 
南面した柱の大節

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2015年 10月 16日

住まいのモノサシ37 縄文時代~主食のクリ 建築材に

わが国の木の建築の源流は竪穴住居です。
もう随分前になりますが、建築系の学校を出ていない私は、
そこに用いられた木がクリをはじめとするコナラ系の木々である、
と知ったときには驚きました。
今回、写真で使った竪穴住居は、
岩手県北上市の「みちのく民俗村」にあります。
何もないところに建物だけ復元してあるのとは違い、
クリやマツの林の中の、少し小高いところに再現されていて、
当時の住まいの雰囲気がよく伝わってきました。

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2015年 9月 18日

住まいのモノサシ36 適材適所~太古から独自の文化

カテゴリー 住まいのモノサシ

本連載も今回で丸3年となりました。
4年目を迎える次回から、いよいよ適材適所について考えます。
わが国の山々は、気候の変化や人間の営みにより変化をとげ、
先人たちの木の生かし方もそれに伴い変化していきました。
今後、建物などに どんな木をどう使えばよいか。
それとともに、山々に育む木をどうすればよいか、
考えてみたいと思っています。


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2015年 8月 21日

住まいのモノサシ35 伝統構法~部材の再利用を徹底

カテゴリー 住まいのモノサシ

ご批判も多い本シリーズ。
しかし、機会を与えられている以上、書かずにはおれず、
木組みに対する気持ちもふくらむ一方です。
好きだから仕方がない。そう思います。

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