2009年 9月 17日

杉と桧、どっちの香りが好き?

カテゴリー 杉の文化研究所

前回記事で西の正倉院をご紹介したところ、
このブログの読者である“ゆきむらさん”が、早速現地を訪問され
昨日、コメント欄に書き込んでくださいました。
とても嬉しいコメントだったので、まずはご紹介させていただきます。

cimg5990.JPG
>こんばんは。

>先日この記事を読み、
>生で見たいという衝動にかられ
>車で4時間かけ、今日行ってきました!

 
>9月7日に板倉をされる建築士の永井さんの
>構造見学会に行ったばっかりだったので
>そのときに見た板倉をもう一度体感できる!と
>思い、非常に遠かったですが、
>がんばって山越えしてきました。。

 
>杉岡さんの写真に驚いた。
>教科書で見た正倉院の印象は小さいと思い込んでいたので
>その大きさを写真で見て驚き、そして現場で生を見て
>また驚きました。

>贅沢にヒノキを使った内部は
>もう築13年?というのに香りがプンプンして
>びっくりです。
>そして同時にわかったことは杉の香りのほうがもしかしたら
>個人的には好きかもしれないということでした。

 
>板倉もこれだけ厚い材が使えたらと常々思っていたので
>思わずスリッパも脱いで素足で感触を確かめてしまいました^^
>杉で10センチの厚さだったらもっとやわらかかっただろうか?
>内部はエアコンが入っていたのだろうか?
>涼しく感じたなあ。
>夏場に来てみたかった。
>こんな中で生活したら、きっと毎日
>元気があふれるだろうななどと
>高望みだけど思いました。。

 
>結局気持ちよくて1時間以上入り浸って
>体感してまいりました!
>到着時は頭痛がしていましたが、
>出る頃にはひいてました^^

 
>いい情報ありがとうございました!!!
 

>追伸
>山の残りの部分の下草狩りも先日行って
>無事終わりました。

 
*****************************************
 
西の正倉院のすばらしさを共有できて嬉しいです。
こちらのほうこそ、ありがとうございました。
私も行くまでの道中が長く(朝8時出発、到着午後4時過ぎ)て、
着いたときはヘトヘトだったのですが、なぜだか元気になりました。
今回は、コメント中の香りについて、ちょっとだけ掘り下げてみたいと思います。
 
>杉の香りのほうがもしかしたら個人的には好きかもしれない・・

じつは私もそうです。
ヒノキの香りも好きなのですが、少し強すぎると感じます。
東京大学名誉教授の有馬先生(宮崎県木材利用技術センター所長)
のマウス実験に面白い結果があります。
それは、「マウスによる床材の嗜好性試験」というものです。
 
51z5ljoloul_sl500_aa240_1.jpg
コンクリート製の巣箱の中央に通路用の穴をあけた隔壁を配置し
二分された部屋の床に材質の異なる建材を床張りして
マウスがどちらの部屋を休息の場に選ぶのかを調べました。
この巣箱には一匹のマウスを入れ、1時間ごとにどちらの部屋にマウスがいるのか2日間観察します。
観察時に5分以上マウスが継続して静止休息している状態のものだけを数えデータとしました。
 
「なぜ、いま木の建築なのか」(有馬孝禮 著)より
cimg6110.JPG
まず、スギvsコンクリートでは156匹:11匹です。
つぎに、スギvsヒノキでは160匹:6匹です。
面白いのはヒノキvsコンクリート。
数の上では、84匹:73匹ですが1日目と2日目で傾向に変化が生じました。
1日目は明らかにコンクリート側に偏っていたのが、2日目にはヒノキに偏ったのです。
有馬先生はその理由をこう述べています。
「その理由として初日はヒノキの香りが強烈で避けていたが、
2日目には熱を奪われないヒノキに移行したと推測される。」
 
マウス実験でもこのような結果がでたわけですが、
「杉の香りのほうがもしかしたら個人的には好きかもしれない」
という好みの傾向はむしろ多数派なのではないか、と思われます。
木の香りに関して、ヒノキの方が取りざたされるのは、おそらく
無垢材というものが生活の場から遠くなるに従って、
杉の香りという共通認識が薄れていったからではないか、と考えられます。
 
>杉で10センチの厚さだったらもっとやわらかかっただろうか?
 
これは木材の密度(比重)の話ですが、またの機会に・・・(笑)
下草刈りどうもお疲れさまでした!

コメント(13)

コメント(13) “杉と桧、どっちの香りが好き?”

  1. 落合邦子@フラワープロデューサーon 2009年9月17日 at 16:38:54

    面白い情報をありがとうございます。

    檜風呂とかで、檜の香りをかぎますが、
    杉と檜の香りの比較をしたことがありませんでした。
    これから、もう少し注意をはらってみます。

    いただいた杉のマガダマをまずはくんくんしてみます。

  2. Dream Writeron 2009年9月17日 at 21:42:43

    興味深いお話をありがとうございます。

    とにかく木の香りが好きなので、
    杉も檜も「ウッディな香り」で括っていたような・・・

    ちなみに、新しい畳の匂いも大好きで、毎年畳替え・・・
    は、できないので、
    初夏に有機野菜の宅配の会社からイグサを買って
    夏の間、玄関に飾っています。

    なので、新築の日本家屋の匂いは、昔から大好きでした。
    最近はこの匂いに接する機会がないので残念です。

    いただいたマガタマの香りは大好きですが、
    檜は檜で大好きなので、比較しようとは思わなかったです。

    杉と檜で検索したら
    『純国産茶 杉と檜 ほうじ茶はとむぎ入り』
    というのが出てきました。

    >国内産檜の葉・杉の葉に、鹿児島県産ほうじ茶、
    >岩手県産はとむぎをバランスよくブレンドしたお茶です。

    杉茶、檜茶というものもあるようで、なんだか味見したくなりました。

    自分の子どもを持つまで、
    赤ちゃんという存在は「一律に赤ちゃん」って感じでしたが
    息子が生まれて、赤ちゃんと向き合うようになると、
    一人ひとり顔も違うし、性格も違うし、月齢で全然違うということが
    よーくわかりました。

    木も、じっくり付き合えば、材木という状態であっても、
    香りの違いや手触りの差、なんとなく感じる雰囲気の中にある個性など、
    ちゃーんとわかるようになるんでしょうね。

  3. 深山聡子on 2009年9月17日 at 21:47:07

    檜ゲルマニウム温浴といって、檜の木で作られた箱にゲルマニウム(本当かしら?)が入っている入浴器具を使っていますが、使い始めは強力な匂いがしました。
    #今ではほとんど感なくなりました。 慣れなのか、においが落ちたのか不明です。

    杉の香りのほうがさわやかですね♪

  4. ゆきむらon 2009年9月17日 at 22:26:33

    こんばんは。

    何だか照れてしまいます。。
    こっちのほうが嬉しいのに。。

    西の正倉院はヒノキだけだから余計にそう感じたのかもしれません。
    あれが全部杉だったらどんな感じになるんでしょうね^^

    有馬先生のお話
    これは非常に興味深いですね。
    動物は敏感ですものね。。
    私もありと同じということで^^

    密度のお話楽しみにお待ちしてます。
    ありがとうございました。

  5. 『応援力』取次学on 2009年9月18日 at 17:05:44

    >車で4時間かけ、今日行ってきました!

    ぉ~、それは凄いですねw(*・o・*)w オォォ。。
    確かに僕も一度みたいです!!

    写真でみると、結構小さいって感じがしますからね。。

    でも杉岡さんとの比較をすると、

    え~、、本当??

    って感じでビックリデス!!
    のちのち旅行でいきますので、その時はどうぞよろしくお願いします!

  6. adminon 2009年9月18日 at 17:22:51

    落合さま

    いつもありがとうございます♪

    >杉と檜の香りの比較をしたことがありませんでした。

    なるほどそうか~
    この二つの樹種で何かをつくって
    利き酒ならぬ、利き木(ききもくと命名^^)
    していただくというのはいかがでしょうか。

    話は変わりますが、虹のメッセージがなんであるか
    なるほど、と思われることが書いてある本を読みました。
    近々、虹のことをブログにアップすることがあるでしょうから、
    そのときにでもご披露したいと思います。
    (ハードル上げてしまった・・・笑)

  7. adminon 2009年9月18日 at 17:28:07

    Dream Writer さま

    >初夏に有機野菜の宅配の会社からイグサを買って

    この行動力はすごい!!

    杉茶はおそらく杉の若葉を煎じたものではないでしょうか。
    緑茶色くらいでサッと煎じたものは、ミントティーみたいな爽やかさですよ。^^

    >赤ちゃんという存在は「一律に赤ちゃん」って感じでしたが

    まさに、仰るとおり!
    何を隠そう、12年前まで私も木についてまったく同じ状態でした(笑)
    「ちゃーんとわかるように」なってくると、これがまた面白いんですよ。^^

  8. adminon 2009年9月18日 at 17:36:32

    深山さま

    >檜の木で作られた箱にゲルマニウムが入っている入浴器具

    そんな優れものがあるのですか~ 驚きました@o@
    ぜひ見てみたいですね。どちらのページに行けば見れますか?

    >#今ではほとんど感なくなりました。 慣れなのか、においが落ちたのか不明です。

    香りというのは、木の乾燥過程で多くを発します。
    最近は、木の欠点をなくすために高温での強制乾燥がなされるので
    新品の無垢材であっても、杉や桧の香りがないものが多いです。
    私が拘っている天然乾燥は、木の香りが残りますが、
    それは二次的な良いところだと思っていました。
    でも最近は、それこそがセールスポイントではないか、とさえ感じます。

    さて、桧の香りがなくなったのは、乾燥が進んだためだと考えられます。
    でも、赤身材のところをペーパーで削ったら、おそらく、
    再び香りがしてくるのではないでしょうか。

  9. adminon 2009年9月18日 at 17:41:32

    ゆきむらさん

    こんにちは。突然アップしてごめんなさい。驚かれました?^^
    あらためて、コメントありがとうございます。
    本当に励まされます。
    お父さんが植えてくれた木、我が家に使えるといいですね。
    密度のお話は、気長に待っていてくださいね~(笑)

  10. adminon 2009年9月18日 at 17:43:47

    取次さま

    いつもありがとうございます♪

    >のちのち旅行でいきますので、その時はどうぞよろしくお願いします!

    は~い!了解です。^^
    エネルギーチャージにぜひおこしくだいませ☆

  11. 深山聡子on 2009年9月20日 at 13:54:04

    杉岡さ~ん

    檜ゲルマニウム温浴・・・楽天で検索したら、同じものが見つかりました。
    これは、浴槽に沈めて使うものです。
    最初使ったときは、何か染み込ませているのではないかと思うほど、香りが強烈でした。

    http://item.rakuten.co.jp/k-vitamin/san-goo-003/

    私が買ったのは、自宅隣の薬局ですが、楽天で検索すると似たような商品がメーカーによっては、
    20000円前後で売られているではありませんか!
    驚きました。

  12. 深山聡子on 2009年9月20日 at 13:57:44

    いえいえ20000円どころでは、ありませんでした。
    同じ浴槽にしずめて使うタイプのゲルマニウム温浴が、なんと245,700円ですって。
    これ・・・買う人いるのかしら!?

  13. adminon 2009年9月24日 at 8:44:02

    深山さま

    このような商品があるのですね~
    私が通うスポーツクラブにもゲルマニウム温浴のメニューがあります。
    (やったことないけど・・・笑)

    >同じ浴槽にしずめて使うタイプのゲルマニウム温浴が、なんと245,700円

    ご紹介していただいたHPは1,980円ですよね。
    ということは、100倍をゆうに超えている・・・
    アマゾンの中古本コーナーで、サイン本でもなんでもないのに
    コレクターズアイテムと称して桁違いの価格を見かけますが、
    いったいどんな方がそんなものを手にしているのか想像もつきませんね。

    話は戻りますが、この商品買ってみたくなりますね。
    桧の香はそう持たないでしょうけど、石の波動は永久的なものだから。^^
    もちろん、2~3千円という価格帯での選択となりますよね、笑。

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