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2019年 12月 31日

令和元年(平成31年)、私は何を考えたか。


一年間の入手書籍を8年前から公開しています。
あくまで「入手」なので全部読んではいませんが、その時々で何を考えていたか、よい記録となります。
今年の入手書籍は185冊でした。
今年は七月に母と永訣したこともあってか、本をよく読みました。
母が念仏を信楽していた影響もあり、親鸞についてはとくに。(吉本隆明、梅原猛、五木寛之など)
『吉本隆明が語る親鸞』付属の5回の講演音声を飽きるくらいに聴いたおかげで、かなりすっきりしました。
杉文化の来歴研究としての古代史、前半は古田武彦氏の九州王朝説を多読、後半は上田正昭氏にどっぷりと。
上田氏による渡来人の研究は素晴らしく、全集を購入してしまいました。
来年はそろそろ考えを整理して、一冊の本にまとめることを目標にします。

平成31年 購入(入手)書籍一覧
1月(56)
『ほんとうの心の力』中村 天風
『知の編集術』松岡 正剛
『森林浴はなぜ体にいいか 』宮崎 良文
『ジブリの教科書10 もののけ姫』
『新史論/書き替えられた古代史 4 天智と天武 日本書紀の真相』関 裕二
『倭国の時代』岡田 英弘
『[完全版]生きがいの創造』飯田 史彦
『水底の歌―柿本人麿論 (上)』梅原猛,
『水底の歌―柿本人麿論 (下)』梅原猛
『柿本人麻呂  人と作品』 中西進 編
『日本人の「あの世」観』 梅原猛
『おいでよ 森へ―――空と水と大地をめぐる命の話 「おいでよ 森へ」プロジェクト』
『天智伝』中西 進
『こんなに効くぞぬれマスク―風邪の減らない「予防学」を科学する』臼田 篤伸
『バガボンド コミック 1-37巻セット』井上雄彦
『天災から日本史を読みなおす – 先人に学ぶ防災』磯田 道史
『「ニンジンから宇宙へ」よみがえる母なる大地 』赤峰 勝人
『山の木のひとりごと』宇江敏勝/酒見綾子
『樹木と生きる 山びとの民俗誌』宇江敏勝
『山人伝』宇江敏勝

2月(16)
『大神神社史』大神神社史料編修委員会 編,大神神社社務所
『香椎宮史』廣渡正利著
『洛中洛外の群像 失われた中世京都へ』瀬田勝哉
『神々の記憶―日本人の心の風景』牧野 和春
『宮本武蔵(八)』吉川 英治
『森の神々と民俗』金田 久璋
『神仏のかたち』梅原 猛
『神仏習合』逵日出典
『人は何のために「祈る」のか 生命の遺伝子はその声を聴いている』村上 和雄,棚次 正和
『NICHE mook02』鈴木 敏彦,中島 智章,香川 浩,平井 充,類洲 環,蔡龍 保,杉原 紀
『八幡宮寺成立史の研究』逵 日出典
『失われた九州王朝:天皇家以前の古代史』古田武彦
『まぼろしの祝詞誕生―古代史の実像を追う』古田 武彦
『日本の秘密 「君が代」を深く考える』古田 武彦
『イネとスギ―国土の自然をつくりかえた植物』稲村達也, 中川重年
『銃・病原菌・鉄 DVD[軽装版]』ジェレドダイアモンド


3月(9)
『銘木史』銘木史編集委員会編,全国銘木連合会,
『701 人麻呂の歌に隠された九州王朝 [DVD]』古田武彦,小倉智昭,大塚芳忠,三原綱木
『虔十公園林 ミニ絵本付き朗読CD』宮沢賢治,佐藤国男,鳥本八重子,大西剛
『倭人伝を徹底して読む』古田武彦
『盗まれた神話―記・紀の秘密』古田 武彦
『人麿の運命』古田 武彦
『聖徳太子論争』古田 武彦
『生誕290年 木喰展:庶民の信仰・微笑仏』神戸新聞社
『神道史研究第60巻第2號』 
(「古代神祇祭祀の基本形態―神体山信仰の展開」逵日出典 掲載)

4月(16)
『万葉集草木考 < 万葉集 > 復刻版 第一巻~第四巻』岡不崩(4冊)
『柿本朝臣人麻呂歌集の研究』森 淳司
『万葉集に歌われた草木』猪股 静弥,大貫茂,
『万葉の森 物語の森』筒井 迪夫
『森を読む―種子の翼に乗って』ヘンリー・D. ソロー,伊藤詔子,
『日本文化における時間と空間』加藤 周一
『緑化工技術』倉田 益二郎
『草木成仏の思想――安然と日本人の自然観』末木文美士
『芸術新潮 2019年 04 月号』追悼梅原猛
『怪物はささやく [DVD]』シガニー・ウィーバー
『怪物はささやく』パトリック・ネス,ジム・ケイ,シヴォーン・ダウド
『断固、森を守る』田島 信太郎
『法隆寺の中の九州王朝』古田 武彦

令和元年5月(11)
『美術手帖 1992年4月号 Vol.44 No.652 [特集]ヨーゼフ・ボイス カオスと創造』美術出版社
『美術手帖 1983年4月号 ヨーゼフ・ボイス』美術出版社
『照葉樹ハンドブック』林 将之
『古代は輝いていた〈1〉『風土記』にいた卑弥呼』古田 武彦
『古代は輝いていた〈2〉日本列島の大王たち』古田 武彦
『新日本人の起源 神話からDNA科学へ』崎谷満
『古代の道教と朝鮮文化』上田 正昭
『「みろくの世」―出口王仁三郎の世界』上田正昭,
『日本の道教遺跡』福永光司,高橋徹,千田稔
『日本の渡来文化―座談会』司馬 遼太郎,上田 正昭,金 達寿
『日本茅葺き紀行』安藤邦廣、上野弥智代、杉原バーバラ

6月(7)
『高血圧を自力で治す最強事典 (薬に頼らず血圧を下げる23の極意)』
『実践 日々のアナキズム――世界に抗う土着の秩序の作り方』ジェームズ・C.スコット
『心に美しい庭をつくりなさい。』枡野 俊明
『共生のデザイン 禅の発想が表現をひらく』枡野俊明
『高血圧の9割は「脚」で下がる!』石原 結實
『翻訳と日本の近代』丸山眞男、加藤周一
『日本その心とかたち』加藤周一(スタジオジブリ)

7月(9)
『古事記 祝詞 (日本古典文学大系 〈1〉)』倉野 憲司,武田 祐吉
『呪の思想』白川 静,梅原 猛
『漢字―生い立ちとその背景』白川 静
『加藤周一セレクション3』加藤周一
『新・幸福論: 「近現代」の次に来るもの』内山 節
『森林から都市を結ぶ―森林フォーラム〈’87―’88〉』森林フォーラム実行委員会
『喪の途上にて―大事故遺族の悲哀の研究』野田 正彰
『遺族外来: 大切な人を失っても』大西秀樹,
『身近な人が亡くなった後の手続のすべて』

8月(8)
『「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉』原丈人,
『「死ぬ瞬間」と死後の生』エリザベス キューブラー・ロス
『死、それは成長の最終段階―続 死ぬ瞬間』エリザベス キューブラー・ロス
『死ぬ瞬間―死とその過程について』エリザベス キューブラー・ロス
『ボイスから始まる』菅原 教夫
『英彦山の宗教民俗と文化資源』福岡大学 福岡・東アジア・地域共生研究所,白川 琢磨
『日本の住宅遺産 名作を住み継ぐ』伏見 唯,藤塚 光政
『デザインの鍵 : 人間・建築・方法』池辺陽

9月(9)
『山はむらさき』平澤興
『増補 21世紀の国富論』原丈人
『向こう三軒両隣り』田中 敏溥
『生きものの建築学』長谷川 尭
『人類哲学序説』梅原猛
『令和日本・再生計画: 前内閣官房参与の救国の提言』藤井聡
『柏木庫治教話集〈1〉 天の理・地の理』柏木庫治
『白蓮華のように』中島みどり
『高良山と筑後の山岳霊場遺跡 資料集』 九州山岳霊場遺跡研究会

10月(14)
『家屋文鏡の世界―古代祭祀建築群の構成原理』池 浩三
『決断科学のすすめ』 矢原徹一
『ザ・マデラ―本当に生きたかった人生を生きて見る』上崎收,
『初学者のための質的研究26の教え』中嶌 洋
『あなたの脳のしつけ方』中野 信子
『数字が語る現代日本の「ウラ」「オモテ」』宇田川 勝司
『共通感覚論』中村 雄二郎
『西田幾多郎先生の追憶―西田幾多郎没後50周年記念』高坂 正顕
『糖質制限の真実 日本人を救う革命的食事法ロカボのすべて』山田 悟
『森林の崩壊―国土をめぐる負の連鎖』白井 裕子
『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』奥野 克巳
『臨済録』柳田 聖山
『タウト日本の家屋と生活』篠田英雄訳
『MUSEUM 東京国立博物館研究誌 第679号』 《特集:小原二郎氏旧蔵木彫像用木材調査標本の再調査》

11月(15)
『阿弥陀仏経碑の謎』原田大六
『邪馬台国は福岡県朝倉市にあった!!―「畿内説」における「失敗の本質」』安本美典
『朱子学と陽明学』小島 毅
『吉本隆明が語る親鸞』吉本隆明,信濃八太郎
『運気を磨く 心を浄化する三つの技法』田坂 広志
『レバノン杉のたどった道―地中海文明からのメッセージ』金子 史朗
『最後の親鸞』吉本隆明
『親鸞 決定版』吉本隆明
『「易経」一日一言』竹村 亞希子
『古語拾遺』斎部 広成
『渡来の古代史』上田正昭
『私の日本古代史〈上〉天皇とは何ものか―縄文から倭の五王まで』上田 正昭
『私の日本古代史〈下〉『古事記』は偽書か―継体朝から律令国家成立まで』上田 正昭
『鎮守の森は甦る―社叢学事始』上田,篤, 上田正昭
『健康は住宅で決まる』 川田季彦

12月(15)
『上田正昭著作集 第1・2・3・4・5・6・7巻』上田正昭
『脳の発見 脳の中の小宇宙』角田 忠信
『フィールド 響き合う生命・意識・宇宙』 リン マクタガート,McTaggart,Lynne,野中浩一,
『あなたの体は9割が細菌』 アランナ・コリン
『清潔はビョーキだ』 藤田 紘一郎
『日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義』 デービッド アトキンソン
『世紀末を語る』 J.ボードリヤール×吉本隆明
『へたも絵のうち』 熊谷守一
『えーえんとくちから』 笹井 宏之   計185冊

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2019年 12月 02日

アレルギー考 ~スギ花粉症は自然からの警鐘か~

「アレルギーと住宅と考える会」の川田季彦さん(山形県酒田市 建築士)より、
著書『健康は住宅で決まる』をご恵贈いただきました。
それが機となり改めて「アレルギー」について考えさせられました。
以下の文章は、川田さんへ返信した手紙の一部です。
長文ですが、お時間のゆるす折りにでもご高覧いただけましたら幸いです。

川田様

アレルギーという言葉は、1906年にクレマン・フォン・ピルケ(1874〜1929)が
”Allergie” と題する論文で初めて用いた用語のようです。
それから百年後の現代、私たちにとってそれはあまりにも身近な症状となりました。
私もアレルギーを抱えています。中学生の頃アトピー性皮膚炎になりましたし、
食物では甲殻類に軽いアレルギーがあります。
「アナフィラキシー」という急性アレルギー症状が命の問題と認識されてはいるものの、
今や「アレルギー」は当たり前になりすぎて深刻視されていないのでは、とさえ感じます。
本著本文中にもありましたが、1990年代に深刻な問題とされたシックハウス症候群は、
建築材料へのホルムアルデヒドの使用制限、24時間換気設備の設置義務などを定めた
2003年建築基準法改正によって、すでに解決済と見なされてしまった感があります。

しかし、アレルギーと現代人との問題は深刻化していると思います。
『大辞林(第三版)』に、アレルギーは
「①本来なら無害であるはずの抗原に対する免疫反応によって引き起こされる疾患」
と定義されています。
本来なら無害である抗原の代表がスギ花粉です。
東京都の調査によると、東京都民のスギ花粉症推定有病率は、
平成18年度の28.2%から平成28年度には48.8%へと、この10年間で激増しました。
(下表参照)
花粉症は、人生の質(QOL) に影響を与るだけでなく、財政をも圧迫しています。
今年8月23日、健康保険組合連合会から「花粉症治療薬を全額自己負担にすべき」との提言がなされました。
年間で最大約600億円もの医療費削減効果があると試算されたようです。
(NHK NEWS WEB 2019-0823)
アレルギー性鼻炎は生死に係わる病気でないという感覚がその基層にはあるのでしょうが、
アレルギー症状は気づかぬうちに、猛烈な勢いで広まっています。
未発症の人の身体にも現在進行形で影響を及ぼし続けていることを忘れてはなりません。

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/12/18/14.html(東京都HP)

話はとびますが、私はいま、「スギ問題」と自ら名づけた問いに向き合っています。
弊社のある福岡県朝倉市杷木は、平成29年九州北部豪雨の被災地となりました。
土石流とともに流れた夥しい量の流木、表層崩壊し赤土がむき出しとなった山々。
被災後も、梅雨や台風など大雨の度、不安にかられます。
そうしたなか、「もう杉はよか・・」という声を耳にしました。
それは辛い経験でした。杉・檜が人々に危害を加えたと私も感じてしまったからです。
山々にあっては国土を守り、住まいにあっては人々を癒す、
そんな木々に対する信頼がぐらついてしまいました。
今回の水害は、線状降水帯がもたらした9時間774㎜、24時間1,000㎜以上という猛烈な雨が原因です。
土砂1,100万㎥、流木21万㎥が流出したと推計されています。
しかし、連日の報道によって、流木が凶器と化し被害を拡大させたとのイメージが広がりました。
主犯はまるで流木であるかのようでした。そして以下のような意見が噴出しました。
「戦後の国策により日本の山々を覆う杉・檜の人工林は、
価格の低迷、就業者の減少などにより管理が行き届かず放置林と化している。
人工林(針葉樹)は根を深く張らず治山効果が低い」。

昭和28年、筑後川を初め日本各地で起こった大洪水の後は、
伐り尽くされ荒廃した山が原因とされ、杉・檜が植えられました。
ところが今では、土砂崩れなどの度に針葉樹林が問題視されます。
表層崩壊は、広葉樹、針葉樹の根系より深いところで発生しているにも関わらず。
つまり感情が先行した理論なのです。
このネガティブな感情論には、スギ花粉症の忌々しさが多分に加勢していると思います。

こうしたネガティブな感情をポジティブな感情へと転換することが私の仕事である、
と覚悟を決めたのは、じつは最近のことです。
現状の人工林を活かし100年後200年後へむけて、どのように山をデザインしていくか。
その過程で発生する間伐材を、どのような形で住まいに活かしていくか。
こうした問いに対し、山々を歩きながら考えてきました。
そしてようやく具体例がイメージ出来るようになりました。
これまで取り組んできた、大径木を活かした木取り、天然乾燥や40度以下の低温乾燥技術、
無垢板で建てる板倉構法なども、その実践編として有効であると確信しているところです。

「アレルギーは、自然からの警鐘です。
 自然が発するメッセージを読み取らなくなったとき、持続可能性は危うくなります」
「アレルギーには、現代社会が生み出した様々な問題が凝縮されているのです」
という本文箇所はとくに共感を抱きました。そして私にはこうも聞こえました。
アレルギーの典型「スギ花粉症」はどんな警鐘を鳴らしているのか。
それを生み出した現代社会の問題とは何か… 

このとき気になるのが、前出『大辞林(第三版)』のアレルギーのもう一つの定義、
「②ある物事を頭から拒否する心理的反応」です。
花粉症の蔓延する日本において、
最早「スギ」に対し心理的拒否反応しか示されないのではないか、と危惧しています。
下手をすると、「アレルギー」という言葉そのものにさえ「アレルギー反応」を抱かれるかもしれません。

そうしたアレルギー反応を打破するには、五感で感じてもらうことだと思います。
川田さんの取り組みで興味深いのは、
瓶の中へパンと一緒に様々な建材を入れ、カビの生え方の違いを観察するなどの透湿実験です。
スギと聞くだけで鼻がムズムズする、と花粉症の人に言われるスギ。
そのスギの板材がとびぬけて優秀なのは面白い。
現実の前には言葉もデータも不要です。
実験の輪が広がることを期待しています。私もやってみたいと思います。

杉岡世邦

※この透湿実験は、以下のHPで見られます。
アレルギーと住宅を考える会 http://www.kenchiku.gr.jp/
↑HPの右上の「facebook 実験グループ」をクリックし入会すると驚きのカビ実験を見ることができます。
他にも様々な興味深い透湿実験が紹介されています。

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